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 「症例検討会」・「研究発表会」を、平成26年2月21日(金)に協和中央病院4階講堂にて開催しました。5題の発表があり、参加人数も152名と、職員の興味の高さが伺え、盛会のうちに終了しました。

 

演題1 高校生の進路選択への支援活動・進路のとびら「職業探索」の取り組み
―医療法人恒貴会が、総合的な学習の教室となる日―
                   
演者 事務局 人材教育推進室 室長 柳田 弘章
  [はじめに]  現代社会の中で若者の進路に対する思いは様々であり、早期での志はあるもの職業理解や具体的獲得手段に対する理解力の不足により、時には消極的となるケースも増えている。その結果が進路後の早期離脱を誘い、生活活動意欲の低下を招き、しいては社会全体に負の影響を及ぼしている事も少なくない。特に医療職に対する夢を抱きながらも、進路選択まで到達できない学生が多いことも軽視できない。我が国では、主体的な決定を支援する為に、職業体験及びインターンシップの積極参加を促すことで、職業に対する理解力の向上を図っている。しかし、基礎的な知識の少ないままでの体験は時として挫折を生じることもある。そこで、進路を検討する若者に対して、適切な時期に、適切な内容を、適切な方法で実施する手段を検討した試みとして、高等学校教育の中で、主体性を育む「総合的な学習」に位置する、進路のとびら「職業探索」を展開できたので、ここに報告する。
[方法] 近隣の県立高等学校の低学年者108名中、特に医療職に関心のある参加希望者13名(女性11名、男性2名)に対して「総合的な学習」と位置づけ、準備として高等学校「課外活動」(筆者出向)時にオリエンテーションおよび学習課題(質問紙)を配布の上、医療法人恒貴会にて参加者全員が「探索テーマ」を設定して「職業探索」に臨み、その体験での考察を学習課題及び1ヶ月後の振り返りアンケートの結果をもとに、参加者の@医療職認知度尺度、A医療環境認知度尺度、B職業志向性尺度、C進路影響力尺度について分析した。
[結果] 質問紙・追跡アンケート調査から得られた結果を、それぞれ5段階の評価基準を設けて分析を行った結果、参加の理由において「将来に役に立つと思ったから」100%の主体的な回答が得られた。進路方向性尺度としての当法人主催インターンシップへの参加については「関心がある」「非常に関心がある」77%であり、目的の中心である医療職進路決定の影響力については、「進路選択に役立った」「非常に役立った」84.6%と有意性が得られたと共に、家族の反応では、100%が「企画が良かった」「非常に良い企画である」という、学生自身の回答同様の高い満足度が得られた。
[考察・まとめ] 企画への参加者全員が進路に対する期待を抱き、家族の高い満足度も確認できたことは、若者の進路に対する意識が低下傾向に有るのではなく、家族と共に社会の中で多くの可能性を得るための機会を望んでいることが考察できた。高等学校との連携力を高め医療職に関心を抱く学生に、低学年という早期に、医療職への道を、医療環境の中で紹介できたことは、地域社会の中で次世代を担う若者を育成する企業として、質の向上への試みでもあり、今回の体験者の1年後のインターンシップへの参加や2年後の進路決定に際しての、主体的な意志力の向上につながることを大いに期待したいものである。しかしながら今回の取り組みは進路のとびらを開く始まりであり、更なる継続性を有することで社会に貢献できると考えられるので、参加者全員の職業選択意識に対する追跡調査も検討しながら、次の取り組みに活かす必要性が求められる。


演題2 臨地実習に対する看護師の意識調査
                                                演者 協和中央病院 北1階病棟 入江 弘美
                                                                                            共同演者 廣瀬 順子
キーワード : 臨地実習指導 看護師 実習環境
  はじめに
 足立1)は「臨地実習は看護教育にとって知識と実践の統合を学ぶ授業科目であると位置づけられている」と述べている。看護師は学生の学習と成長を支援し、実習環境の質の保証と学習意欲を高める関わりが必要である。嶋屋ら2)は「患者や学生に対する看護師の姿勢は、学生の学びに多きな影響を及ぼす」と述べている。しかし、学生指導に対する関心、指導内容は看護師によって個人差があり、結果的に学生の学習満足度が低くなる理由の1つとなり得る。そこで学生指導に対する伝達講習実施前後での看護師の学生指導に対する意識の変化について明らかにするために研究を行った。
T 研究方法
 1.調査期間:2012年8月〜2013年1月
 2.対象:学生指導を経験したことのある看護師19名
 3.方法:@3段階選択回答式と自由記述式によるアンケート調査を実施
 (2012年8月)
    A学生実習指導について伝達講習会を(2012年9月)しその後実習指
      導を行う
    B1回目と同じ内容のアンケートを実施(2013年1月)
4.倫理的配慮:個人が特定できないよう無記名とし研究以外では使用しないことをアンケートに明記する。
U 結果
 実習指導の経験がある看護師19名対象にアンケート調査を実施し1回目のアンケートは回収率、有効回答率とも100%、2回目のアンケートでは回収率、有効回答率とも95%であった。
 「実習環境は整っている」では、そう思うが1回目7人(36.8%)から2回目3
 人(16.7%)へ減少していた。
  「学生と関わるのは好きである」ではそう思うが1回目1人(5.3%)、2回目4
  人(22.2%)「積極的に学生と関わっている」ではそう思うが1回目0人、2回目2人(11.1%)、「学生から声をかけるべきである」ではそう思うが1回目7人(36.8%)、2回目3人(17.6%)「指導することは自己の成長にもなる」では、そう思うが1回目15人(78.9%)、2回目16人(88.9%)「指導が負担と感じるときがある」ではそう思うが1回目11人(57.9%)、2回目12人(66.7%)「実習指導に自信がない」ではそう思うが1回目10人(52.6%)、2回目11人(61.1%)「学生を助けたいと思う」そう思うが1回目8人(42.1%)2回目8人(44.4%)「実習における学習の到達度を理解している」では、そう思うが1回目0人、2回目5人(27.8%)と上昇した。  
 自由記載では1回目は「学生と一緒にケアを行える時間があればよい。」「学生は指導者とのコミュニケーションが多く、他のスタッフとは関わっていないように感じる。」であった。伝達講習を実施したあとの、2回目のアンケートでは「学生指導に対して意欲がもてるようになった。」「学生の立場で接することができた。」「学生への声かけを意識するようになった。」「1対1で接したときの態度が丁寧になった」など、学生に対し積極的に関わる様子が伺え、その結果「学生から声をかけられることも増えた。」といった学生の変化も感じていた。一方で、「学生へ十分に関われていないことは分かってはいる。」という時間の制約の中での学生指導に対するもどかしさも述べていた。
V 考察
 看護師は学生を助けたいという気持ちを持ちながらも日常業務を行いながらの実習指導は負担が大きいと感じていることが分かった。
 実習期間は約半年間あるが1クールは2〜3週間と短期間である。看護師はシフト制で勤務しており、それぞれの学生と関わる時間は限られている。また、学生の記録を読んだりカンファレンスを行ったりしているのは臨地実習指導者であり、それらの内容は他の看護師には伝わっていない。そのような中で、学生の理解度などの情報を共有し、個々に合わせて指導を行っていくことは難しい。アンケート結果から看護師は日常業務に追われ学生と関わる時間が十分にとれていないことがわかった。
 実習では病院でしか経験できないケアの見学や実技など学びの場を提供することも必要である。しかし、実習における学習の到達度や実習で経験すべき実技の内容の理解度は低いままであった。そのため、学生にとっては経験できたはずのケアなどが見学や経験ができず、実習に対し満足感が低くなる可能性があると考えられた。糸賀3)は「学生が実習の場に受け入れられていると感じられる実習は、自分の存在を認めてくれる場として学生がのびのびと看護を学び、実践力を培い、卒業後の就職につながる」と述べている。このことから実習での経験が就職の選択に関わってくることがわかる。学生にとって安心して学べる環境が大切であると考える。
 実習中の学生はなれない環境で主体的に動くことを求められ心理的に負担が大きい。千田4)は「余裕のない学生の心理状況を共感的に理解したうえで、患者を看護していくために必要な思考過程を具体的に教えていくことが重要である」と述べている。そのため指導に関わる看護師は実習目標や実習計画を的確に把握し計画が実践できるように環境を整えたり、指導を行うときは肯定的な声かけや考えを導いたりし、学生に合わせて分かりやすく指導をすることを心がける必要がある。
 学生が充実した実習期間を送れるかどうかは看護師の学生に対する態度によって大きく左右されると考える。三浦ら5)は「実習環境を整えるとは、学生がいることを看護師全員が意識することであり、学生が関心を持ってくれていると感じることである」と述べている。自由記載の結果からも、看護師が学生と関わろうとしている言動があったことから、今回アンケート調査を行ったことで、実習指導に対してわずかではあるが関心を持つようになってきたのではないかと考える。
 学生の実習に対する満足度、学習意欲の向上のためにはスタッフ同士で言葉がけを含めた指導法の統一、個々の理解度の情報共有は重要である。今後も学習環境を整え、病棟全体で学生を支援していくことが必要であると考える。
結論
1.実習環境を整えるとは学生へ関心を持つことからはじまる
2.病棟全体で学生を受け入れ指導していくことが大切である

引用文献
 1)足立はるゑ:ワークシートで指導と評価がラクラクできる 臨地実習指導
 サポートブック, 2011.
 2)嶋屋順子 松井美由紀 他:三浦幸枝 他:第34回日本看護学会論文集
 看護管理,329,2003.
 3)糸賀暢子:看護展望7月号 第35巻 第8号,
 13,2010.
 4)千田操:看護教育2月号 第53巻 第2号, 104-105,2012.
 5)三浦幸枝 高橋成子 他:第34回日本看護学会論文集 看護管
 理,332,2003.


演題3 当院の終末期ケアに関する介護士の意識調査
                                                演者 協和南病院 介護福祉士 中野 大輔

                                  共同演者 鈴木 つね子 浅野 理恵 中野 由美 斉藤多美子
  【はじめに】
 近年の高齢化により、死亡者数も増加している。当院においても高齢化、重症化に伴い、死亡者数が増えており終末期ケアに対する意識も高まってきている。今回、病棟介護士が終末期ケアをどのように受け止め介護を実践しているのか、現状と課題を明らかにするため意識調査を実施したので報告する。
【方法】
病棟介護士30名にアンケートによる意識調査を行った。
【結果】
 終末期ケアでは、異常を感じた時看護師に報告すること。患者の状態を見極める観察、判断力が重要と考え、困難さを感じることは、患者、家族とのコミュニケーション。死期が近づいてきた時の家族への対応。死後の処置では、患者の身体を傷つけないように処置する。患者への畏敬の念を持って寄り添う気持ちで接する。困難さを感じることは、家族への対応や配慮。適切な処置をしたのか自信がないと言う結果であった。
【考察】
 終末期ケアは、看護師のみならず介護士にとってもチームケアを行う上で重要な意味があると認識する。患者、家族に寄り添いコミュニケーションの充実、死生観など重要なことを学ぶことができる。今後は、終末期ケアの質の向上に向けて、教育の充実を図るように検討していくことが急務と考える。


 

演題4 ストーマ造設者が日常生活で困る事は何か
 〜ストーマ装具装着体験を通して〜

 演者 協和中央病院 新館2階病棟 上野 由加里
共同演者 鈴木 裕美 早瀬 奈津枝 鈴木 弥生 
今村 沙織 大山 淳三橋 真理子 高橋 安子
   わが国では、後期高齢社会に伴い悪性新生物の罹患率も増加傾向である。その中でも大腸癌の増加が注目されている大腸疾患患者増加に伴い、ストーマ造設をする患者が年々増加してきている。当院では、過去6年間のデータによるとストーマ造設術件数が平成19年度計6件中大腸癌4件、S状結腸捻転・S状結腸穿孔の大腸疾患2件から年々増加し、平成24年度計21件中、大腸癌8件、腸閉塞・S状結腸軸捻転・直腸狭窄・S状結腸壊死・直腸閉塞などのその他大腸疾患13件に増加している。当院の消化器外科病棟では、ストーマ造設者に関わる機会も増えてきている。しかし、現状では在院日数短縮化のため、既存のパンフレットでの指導となっており、ストーマ造設者が実際に困っていることが把握できず、退院後の生活につなげる具体的な指導が行えていなかった。その為、ストーマ造設者の困っていることを明らかにし今後の指導に生かすために、ストーマ装具体験を行なった。ストーマ造設者の立場を経験することによって、ストーマ造設者の気持ち、日常生活で困ることが具体的に把握できた。対象のストーマ造設者の生活状況を把握し、個々の日常生活にそったパンフレット指導に生かせるよう、ここに報告する。

演題5 排尿障害の治療、とくにカテーテル管理について
                                              演者 協和中央病院 泌尿器科医師 蔵 尚樹
   排尿障害について、なるべく日々の臨床現場に役立つ内容でお話したいと思います。まず、正常な排尿とはどのようなものかについてあらためて確認し、正常な排尿が障害された状態、すなわち排尿障害を症状から分類し、またその原因について簡単にお話します。そのあと最近の薬物治療、行動療法などについても少し触れたいと思います。ところで、最近排尿障害とくに夜間排尿についてはいわゆる生活習慣病との密接な関係が明らかになってきており、とくに高血圧、動脈硬化症との関係が重視されています。血圧コントロール不良の人は夜間の排尿量が増大し、結果夜間頻尿となります。夜間3回以上排尿に起きる人は有意に寿命が短いという研究もあり、適切な血圧維持は排尿障害からみてもとても重要です。また動脈硬化の原因となる高脂血症、糖尿病、喫煙などは膀胱の虚血状態を生じさせ、尿意の亢進につながる場合があります。さらに最近飲水過多による夜間頻尿も問題になっております。様々な情報の影響で必要以上に飲水していると思われる例もみられ、過不足のない適切な飲水量の確保も大切です。これら排尿障害について最近の話題をお話したあと、カテーテルによる排尿管理について、間欠導尿法、留置カテーテルの挿入や維持管理の注意点、さまざまなトラブル対処法、適切な交換サイクル、定期膀胱、合併症などにつき出来るだけ具体的にお話ししてみたいと思います。当日は何か日頃感じておられる疑問点などありましたらできるだけお答えするつもりです。





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