くのっち政務官として経験したもの
【平成14年10月5日】

    昨日政務官人事が発表され、小泉改造内閣の組織は終わって愈々総理の『骨太方針』がスタート致しました。私も政務官の任期を無事終了し、この1年余りは大変貴重な経験になりました。常日頃、皆様方には大変御世話になりながら、ご無沙汰を致し誠に申し訳ないと思っております。改めてお詫び申し上げます。
    考えてみると、私が参議員に当選したのは平成10年7月であったが、当時は行政改革で大嵐が吹き、大きく世の中が変わってきた。また、いきなり日本の上空をテポドンが飛越え太平洋に落ちた。その後不審船(工作船)が再三日本領海内を侵犯したが、それに対して日本はなす術が無かった。「有事法制」が無いからだと思いました。そしてまた、世論や野党・マスコミがそれに反対したからである。
    その後、全てのテレビが国会議員と行政や企業との癒着などを色々と取り上げ、毎日のように報道された。何よりもひどいのは望遠レンズで手元の小さなメモ書きを写し、それが動かぬ証拠となって役職を辞めさせられた議員が出たことである。これは行き過ぎでないかと首を傾げたくなる。その他、多くの国会議員が辞職した。殆ど内部告発なのでやむを得なかったかもしれない。私が国会議員になる前はこの様なことはよほど酷い事件で無ければ報道はされなかったように思う。確かに不景気を背景に国民が「政府に期待するもの」が変わってきているからかもしれない。
    9月17日小泉総理が北朝鮮を訪問し、初めて北朝鮮側から「拉致疑惑」が明らかにされた。4半世紀以上も認めなかった問題を「不審船引き上げ」で動かぬ証拠を握った後では弁明が出来なかったのであろう。工作船には日本製の設備が多くあったという。
    発端は「よど号ハイジャック」で始まるが、この問題はどうなっているのか?ミサイルや原爆の開発などで、世界は北朝鮮に対し注目を集めていたので、その評価は世界的に評価された。皆さんは、「瀋陽事件」を見て、日本が如何にだらしないと思ったことか!他国には北朝鮮難民がたくさん亡命している。この事実は見逃すことは出来ない。すでに北朝鮮は崩壊寸前であったから「拉致事件」を簡単に認め、陳謝したのであろう。しかしマスメディアは「拉致事件」家族の悲しみばかりを報道している。家族の怒りは筆舌には語れないもので、誠にお気の毒と思う。その賠償問題は北朝鮮がやるのであろうが、大切なのは今後「国交正常化」の問題がある。しかし、戦時中に日本がとった北朝鮮に対する植民地支配の賠償はモット大きくなる。これは政治的な問題であり、かなり大変な問題が潜んでいるが、その問題は全く報道されていない。第2次世界大戦以降半世紀以上も経って未だに外国人が作った「新憲法」を後生大事に守っている日本というのは、一体世界にどのように映っているのか?高度成長以前は通用したが、バブル崩壊後はそれに適応した「憲法改正」をやるべきであった。このままでは日本はどうなってしまうのか?
    以前景気対策に小渕総理が国債を100兆円以上も使った。しかし、景気は一向に良くならなかった。この現象を皆さんはどの様に感じて居られるのか?今は株価が9千円を割っている。これでは銀行の不良債権が増える一方である。以降3年ほどになるが、当時「国民貯蓄率は1人1600兆円」であったが、今では、1900兆円になっている。景気低迷で行く末が全く見えないから貯蓄せざるを得ず、益々脆弱化する銀行に預金する人はなく、またペイオフの噂で箪笥預金している。そこで小泉総理は構造改革を打ち出し、「改革には痛みを伴う」とした。良し悪しはともかく、その時に「聖域なき」と言った部分の抵抗勢力が返って結集した。しかし、それでも総理は健気にやっている。
    確かにトーンは落ちたかも知れないが、この時期に厚生労働政務官をやらせて頂き、行政を通して見た先の抵抗勢力部分が如何に理解が薄いかを改めて知り、驚かされた。坂口厚生大臣が政治家として新しい「社会保障制度」試案をだした。これでどの様な効果があるかは医療提供者側の構造改革が伴わないと返って、患者負担が増えると思うが、その改革案を第3者が押し付ける問題ではない。医師会自身が決める問題である。そうでなければ「官と民のあり方」のバランスが全く消失する。
    地価や株価も低落し、産業も空洞化している。この様な状況になったのは半世紀以上も、今の「新憲法」を今様に合わせて変えなかったからであり、このままの状況で、幾ら改革を叫んでも、日本的な景気回復は有り得ないと思う。世界的に景気は悪いのである。その中で日本が経験した右肩上がりの時代と同様に、後進国(中国・東南アジア)はGDPを伸ばしている。もし日本のODAや産業の進出が無かったら、後進国の発展はなかったと思う。色々な意味を通じて、世論政治も悪いのかも知れないが、マスコミ報道のあり方も非常に問題があり酷いのではないかとツクズク感じている。
    さてこのデフレ基調の中で、日本の発展を先進諸国並にしようとしても無理がある。アメリカは株価が落ちたらすぐに対応できるのに、日本では何故対応できないのであろうか?それは「今迄培った国のあり方」に問題があるからである。大体、日本の賃金は高過ぎるきらいがある。バブル崩壊後、作れば売れる時代はとっくにすぎている。GNPは下がり続けているのに、人件費はそのままだった。だから企業は外国に進出し、空洞化している。その結果「社会保障制度」は非常に不安定な状態になってしまった。そこで、坂口大臣は「骨太方針」を出したが、はたしてそれで解決するであろうか・・・・・・?
国会議員が評論家的なことを云ってはいかにも他人事の様に聞こえるが、今後色々今迄勉強してきたものを自分なりにぶつけて行きたいと思っています。
    是非皆様のご支援をお願い致します。

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