テーマ
薬剤師新時代〜チーム医療の新たなステージに向けて〜
2012年8月12日、パシフィコ横浜にて日本病院薬剤師会関東ブロック第42回学術大会が開催された。
シンポジウム「安全ながん化学療法に寄与する薬剤師業務〜副作用対策を中心に〜」
近年、分子標的抗がん剤など新規抗がん剤の開発によって、治療効果(奏効率)が年々上昇してきているが、副作用も、これまでの抗がん剤特有の悪心・嘔吐、食欲不振等消化器症状、骨髄抑制、口内炎などから、重度の皮膚疾患、重度のinfusion
reactionなど独特な副作用が発現し、患者の副作用コントロールに苦慮するケースが増えてきている。そこで、薬剤師に求められている役割として、効果・副作用を考慮した処方設計の提案、制吐剤・G-CSF製剤・皮膚のスキンケアなど支持療法の提案、血液データ・体重等から薬の減量・中止の提案、検査追加の提案などが挙げられる。平成24年4月より病棟薬剤業務実施加算が新設されたことは、この副作用のコントロールに大きな意味を持つ。薬剤師が病棟に常駐し、リアルタイムな薬学診断を実施することでよりきめ細やかな患者状態の把握ができ、医師への回診同行や処方提案も行うことができるという利点がある。今後は薬剤師がバイタルサインを取ることで患者の血圧、脈拍、心音、肺音等を必要に応じチェックし、副作用の早期発見をするべく技術の習得を行いたいと考える。
教育講演「感染制御」
TDMが必要な抗生剤は、解析ソフトで初期投与量の設定をすることは当院でも行っているが、実測値を
見るために薬剤師が採血のオーダーを行い、外注の検査センターから結果を至急でFAXしてもらい
効果の確認と副作用発現防止を行っていた。また、地域のアンチバイオグラム(地域ごとの抗生剤感受性調査)も行っており、当院でも本年10月より調査を開始すべく準備中である。血液培養で菌が検出され、炎症症状をしている敗血症は極めて予後が悪い疾患であり、眼内炎や心内膜炎など合併症も引き起こす。この対策は、まずカテーテル等生体内異物を抜去し、起因菌の推定と適切な抗生剤、抗真菌剤を十分量、十分な期間投与することが必須である。
ポスター「病棟薬剤業務実施加算の算定」
平成24年度より病棟薬剤業務実施加算が新設された。これは、薬剤師がすべての病棟に常駐し、週20時間以上病棟業務に従事した場合、1患者あたり週1回100点が算定できる加算である。この加算を算定している施設のポスター発表が多数見受けられたが、当院では服薬指導システムを導入し、業務手順を整備すれば現行で行っていることに多少の業務を追加することで算定可能と考えている。この業務導入が、医師、看護師の業務負担軽減と薬のリスクマネージメントにつながる。 |