認知症は脳の萎縮・脳細胞の減少・変性・脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)の原因による病気です。完全に治療することは難しいのですが、早めに診断を受け、発見できれば症状を抑えたり、介護する方の負担を軽くすることは可能です。
認知症の主な症状は「中核症状」と「周辺症状」に分けられます。中核症状は必ず見られる症状ですが、「年相応の物忘れ」とよく似ている症状の為、見落とされがちです。認知症による物忘れは体験したことすべて忘れたり、ヒントを与えても思い出せなかったりする場合などがあります。
周辺症状は、中核症状+薬剤の副作用・環境・人間関係・住環境といったように、さまざまなものが引き金となって現れる症状で、興奮・不眠・うつ状態・幻覚・徘徊・拒否など、日常生活に支障をきたすものになってきます。
認知症の予防については、「絶対にならない」という確実な予防法や治療はありません。しかし、認知症にならなかった人のデータから、認知症予防のポイントがだんだん明らかになってきています。それは、野菜や青魚をよく食べる・趣味を見つける、続ける・家族や友人との交流をもつ・持病(高血圧・糖尿病など)と上手に付き合う、ということです。
もし、家族が認知症になってしまった場合・認知症が疑われる場合は、まず、認知症の特性を理解し、本人の思いを受け入れることが大切です。認知症の人は物忘れや自分の気持ちを上手に表現できないことなどから、不安・あせり・孤独などを感じる場合が多く、一般の方の生活のペースには合わせられなくなっています。
介護する側も「何回言ってもわからない」とイライラして気持ちに余裕がなくなり、本人・介護する側どちらにとっても負担が増え、生活が成り立たなくなってしまいます。
「もしかしたら」と思ったら早めに相談し、適切な治療や対応をすることが大切です。相談窓口としては、かかりつけの医療機関・利用されている施設・行政の窓口(地域包括支援センター)・担当の介護支援専門員などにご相談ください。
(社会福祉法人恒幸園 機関誌「悠悠 第5号」掲載)
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